ドライアイの原因
ドライアイは大きく分けて、(1)眼表面の涙が少ない場合、A涙はあるけれどもきちんと涙としての機能を果たしていない場合とに分けられるのは前述のとおりです。では、どのような場合にドライアイ症状を発症するのかをみていきましょう。
1)眼表面の涙が少ない場合
これにはまず、シェーグレン症候群など膠原病などに伴って涙腺自体が破壊される場合や、年齢によって分泌量が低下する場合などがあります。しかし、角膜表面に涙が少ないからといって涙が分泌されていない
とは限りません。涙点から鼻涙管への排出がよすぎる場合も考えられます。薬剤師さんの観点からすると、薬剤による二次的なドライアイも看過できないことと思われます。比較的世代の古い抗ヒスタミン薬は鼻汁のみならず、口の乾き感や涙液分泌の減少をもたらす可能性があります。副交感神経を抑制する働きがある薬剤もドライアイを強める可能性があります。たとえば抗うつ薬などで調節力障害が起こると見えづらくなり、瞬目(まばたき)回数の減少によるドライアイや眼精疲労症状が発生しやすくなります。また、最近流行のレーシック手術は角膜フラップの作成時に角膜上の知覚神経を切断してしまうために、瞬目回数が減少
したり、開瞼時間の延長により涙液蒸散量が増加したり、角膜からの反射性涙液分泌が起こらず、ドライアイ症状が悪化することが知られています。また、白内障手術時にも、手術に伴う頻回点眼や手術自体による物理的ダメージによってドライアイが発症することがあります。
2)涙はあるけれどもきちんと涙としての機能を果たしていない場合
最近の都市部の乾燥はひどくなる一方です。それは、住宅環境の改善による生活環境の変化も一因です。障子、土壁の家は保湿され、外気が低湿度の時も湿度低下を最小限に抑えますが、コンクリートでできた建物にビニールの壁紙では外気の湿度が直接室内の湿度になるばかりか、暖房機能の高度化によって相対的に湿度は下がっていきます。特に24時間換気の設置義務化以降、涙液量は正常であっても蒸発が早いケースのドライアイ症状を訴える人が増えたように筆者は感じています。乾燥した日が続くと無症状であった人が症状をもつようになります。これは環境的なドライアイの悪化です。
また、生活リズムの深夜化、睡眠不足、ホルモンバランス異常、ストレス過多などが分泌を低下させますし、油層やムチン層が正常でなくなったりする可能性もあります(マイボーム腺機能不全など)。そしてコンタクトレンズ装用者はマイボーム腺機能が有意に低下するという報告も出ています。これらは機能的ドライアイといえるでしょう。
高齢化社会になったことにより、分泌機能自体の低下もさることながら、形態的変化によるドライアイの患者さんも増えています。 目の場合はマイボーム腺開口部の角化や閉塞などによるマイボーム腺機不など局所的な変化のほかにもっと大きな結膜や眼瞼の形態異常などがこれにあたります。眼瞼下垂や眼瞼の内反・外反などは瞬目の不全と涙液クリアランスの低下をもたらします。涙液クリアランスが低下すると、不要になった分泌物が結膜嚢内に貯留するようになり、慢性結膜炎やだらだらと続く目やに症状の原因となります。近年増えている結膜弛緩症も、涙点の閉塞、異物感、涙液メニスカスの異常に伴うドライアイの原因となります。